2018年4月1日にH-1B専門職ビザ申請の受付が始まります。H-1Bとは専門的知識を有する大卒以上の学位取得者を対象とした短期就労ビザの一種で、毎年H-1Bの就労開始日(10月1日)の6ヶ月前の4月1日に申請受付が始まります。

H-1B年間枠.H-1Bは年間枠が65,000枠ありますが、これとは別に修士号や博士号取得者にはさらに20,000枠設けられています。この中から6,800枠はチリとシンガポール国籍者に割り当てられます。ここ数年間H-1Bの申請者は年間枠を大幅に上回っているため、申請受付は4月の初週で締め切られ、無作為の抽選で選ばれた申請者のみ審査されています。ここ数年間の当選確率は30%~50%となっています。今年も昨年同様、申請受付が4月初週の5日間のみであると予想されますので、早めに申請準備を始めたほうがよいでしょう。ただし、H-1Bの延長申請、過去6年間にすでにH-1Bを取得したもの、また、雇用主が非営利団体の大学機関、大学機関と連携プログラムがある非営利機関(たとえば、大学からインターン生をうけいれている病院など)、もしくは政府や民間の非営利のリサーチ団体などの雇用主は、年間枠の対象とはなりませんので、4月1日の申請時期を待たずに、年中いつでもH-1Bを申請することができます。

H-1Bの申請条件. H-1Bビザは基本的には4大卒者(もしくは同等の資格をもつもの)を対象としていますが、大学の専攻科目がポジション内容と一致していることが条件です。ただ、近年米国移民局の審査が大変厳しくなっているため、理数系以外は審査はかなり難航することが予想されます。

H-1B遵守事項.H-1B 雇用主はその地域の平均賃金もしくは同職社員に支払う賃金のいずれかの高い方をH-1B 社員に支払う義務があります。H-1Bはフルタイムでもパートタイムでも申請できますが、フルタイムの場合は最低でも年間平均賃金、パートタイムの場合は平均時給を支払う義務があります。また、H-1B 雇用主はH-1B申請前にH-1B の雇用条件(職務、賃金、勤務場所、勤務期間などの情報)を社内2箇所に10営業日間掲示する必要があります。その他にもH-1B 雇用主はH-1B期限満了前に会社の都合でH-1B 社員を解雇した場合、その社員が自国へもどるための渡航費用をオファーする義務があります。さらに勤務地が複数にわたる場合、それぞれの地域の平均賃金を遵守する必要がありますので、注意が必要です。なお、雇用主はH-1B社員の給与や雇用条件に関し、政府役人や社員などから閲覧を求められたらすぐに開示できるように、これら情報をPublic Access File に保管する義務があります。

複数企業・転職 H-1Bはスポンサー企業での就労に限定されていることから、転職を希望する場合、新しい雇用先が新たにH-1Bの申請手続きを行わなくてはなりません。また、H-1Bはパートタイム申請も可能なため、雇用主が複数いる場合は、それぞれの雇用主がH-1Bを申請することで、複数企業で同時に就労することもできます。また、H-1B枠免除団体を通してH-1Bを取得していれば、H-1B枠免除団体での雇用が続く限りは、H-1B枠対象企業が2つ目のH-1Bを同時雇用として申請することもできます。ただし、この場合H-1B枠免除団体での雇用が終了した時点で、2つ目のH-1Bも無効となってしまいます。なお、H-1B枠免除団体からH-1B枠対象企業へ転職するときは、新たにH-1Bの年間枠の対象となりますので、注意が必要です。

申請料金.H-1Bの初回申請費用は、基本申請料金$460、詐欺防止費用$500(初回申請のみ), ACWIA追加申請料金 $1500(社員25名以下の場合は$750)の3通りの費用がかかります。H-1B枠免除の対象となる非営利団体はACWIA追加申請料金が免除されます。また、2015年12月の米国議会一括予算法案により、50名以上の社員をかかえる企業で、50%以上の社員がH-1BやLビザ保持者であれば、従来の申請費用に加え、さらに$4,000の追加申請費用が課せられるようになりました。

なお、今回の新規H1B申請は昨年度同様に規定枠を大幅に超える申請数があると思われるため、移民局はH1Bの枠制限を受ける新規申請者の特急申請(プレミアムプロセシング)サービスを4月から9月末まで一時的に停止すると発表しました。ただし、年間枠の制限を受けないH1Bの延長申請や特別な例外事由に当てはまる場合は引き続きプレミアムサービスをご利用いただけます。

執筆:大蔵昌枝弁護士

 

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Posted on March 21st 2018