Screen Shot 2015-10-28 at 5.30.55 PM

 

2015 年 7 にオバマ大統領は移民法近代化法を提案しました。

移民法関連手続きは、ビザの種類に よって、連邦移民局以外に国務省、労働局、入国管理局など、いろいろな政府機関が絡む複雑な手 続きとなっております。以前はすべて紙面やファックスによる提出を求められていましたが、数年 の努力を経て、出入国情報(I-94)、ビザ免除(ESTA)手続き、米国大使館・領事館でのビザ申請書 類である DS フォーム、移民局への住所変更届け(AR-11 フォーム)、平均賃金申請、H1B 申請に必 要な労働局はのLCA申請手続き、永住権申請の第1段階である労働局へのPERM Labor Certification の申請手続きなどはすでにオンライン化されました。

申請書類のシステム化の努力は引き続き行わ れる一方、各種移民・非移民ビザに関する法律自体、見直しを必要とされています。この法案はま だ最終的なものでありませんが、顕著な改善点を2つほど説明いたします。

現状の移民法では、短期非移民ビザで就労しているものは、解雇や会社閉鎖などにより雇用が終了 した時点で滞在資格がなくなってしまいます。例外として、H1B 保持者は H1B の承認期限を満了し た場合に限って、雇用終了から10日間の猶予期限があたえられます。しかし、期限満了前に雇用 が終了した場合、その時点でオーバーステイが始まってしまいます。

雇用が終了する前に新雇用主 が雇用主変更申請を移民局に提出した場合は、米国内にとどまってその結果をまつことができます が、雇用終了後に次の雇用主がみつかった場合、一旦国外に出国して、新しいビザが承認されるま で米国に入国はできなくなります。10 年以前くらいまでは、移民局も途中解雇されたものが次の雇 用主がみつかるまで数週間から1~2ヶ月くらいのオーバーステイがあっても、米国内での雇用主 変更申請を承認することが多くみられました。しかしながら 9/11 以降は、政府は外国人のオーバー ステイに対して非常に厳しく管理するようになり、一日でもオーバーステイがあれば、米国内での 雇用主の変更はみとめず、申請者は一旦国外にでてビザを申請して入国するように指導するように なりました。

この現状を改善すべく、今回のオバマ大統領の移民法近代化法案では、短期非移民ビ ザ保持者が雇用終了後も、次の職場がみつかるまで米国内に合法に居残ることができるように、雇 用終了後の猶予期間(グレイスピリオド)を設けるように提案しています。

また、永住権申請に関しては、現在の移民法では、雇用主スポンサーによる永住権の申請を行った ものは、永住権が承認されるまで、職場を変わることが非常に難しくなっています。現状では雇用 主スポンサー移民申請(I-140)が承認されても、個人は永住権申請申請(I-485)を提出して6ヶ月 が経過するまで、転職をすることができません。過去には I-140 が承認されてから I-485 を申請する まで 2~5 年ほどの待ち時間があったため、その間は仕事を変える自由が失われてしまいました。また現法では I-140 提出後、I-485 の順番がまわってくるまでの待ち時間の間に会社が閉鎖したり、 他州の拠点に併合された場合、申請した場所での雇用がなくなるため、永住権の申請が中断してし まいます。

この状態を改善するために、今回の法案では個人の仕事の選択の自由を促進するように、 I-140 が承認されて1年が経過していれば、仮に元の会社が閉鎖しても、また元の雇用主が I-140 を 取り下げても、個人が自由に転職できるよう法律を改正するように提案しています。この法案は確 かに個人にとっては歓迎すべき改善ではありますが、多大な資金をつかって社員の永住権をサポー トする雇用主にとっては、まだ永住権が承認されるまえに社員を失う可能性が大きくなるため、永 住権スポンサーに対して慎重にならざるをえなくなるでしょう。

これに対し、雇用主からは永住権をサポートする代わりに、一定期間内に退職した場合は、永住権申請にかかった費用を個人に返済してもらうように合意を作成したい、という意見もうかがわれま す。ただし、永住権申請過程の中には法律上個人が負担してはならない費用項目もありますので、 このような合意書を作成する場合は、必ず雇用法と移民法の弁護士の意見を求めたほうがよいと思 われます。

Posted: 08/21/2015