2015年11月より、米国内にて飲酒運転 (DUI=driving under the influence) で逮捕されたら、各国の米国大使館・領事館から本人に対して、ビザ取消通知書が届くようになりました。ビザを取り消されるのに有罪判決は必要ではなく、5年以内にDUIの逮捕歴があればこの対象になります。ところが、ビザ取消通知書にはビザ・スタンプの取り消しのみではなく、米国内での滞在資格(I-94)も同時に抹消すると書かれているために、ビザ取消通知を受領した人は、直ちに出国し、オンラインのビザ申請書DS160に飲酒運転による逮捕情報を明記し、裁判書類を提出して、再度ビザの申請をしなおす必要がありました。

しかしながら、米国内での滞在資格(I-94)に関しては米国移民局の管轄となるため、大使館・領事館はビザ・スタンプを発行したり、取消すことができても、アメリカ国内での滞在資格(I-94)を取消す権限はありません。本件について4月に移民弁護士連盟から移民局に見解を明確にするように要請を出した結果、移民局は飲酒運転によるビザ取消通知は、ビザ・スタンプの取り消しを通知するものであり、米国内での滞在資格には影響するものではない、という見解を明らかにしました。したがって、入国後に飲酒運転で逮捕されても、米国を出国しない限りは、滞在資格には影響はありません。

ビザの取り消しに至る手順としては、飲酒運転逮捕の際、指紋押捺により国務省に逮捕の連絡がはいり、これを受けて国務省は在外公館に連絡をし、米国大使館や米国領事館はこれに基づいてビザ取消通知を発行します。ビザ・スタンプの取り消しは次回出国時に効力を発するので、一旦出国したら既存のビザ・スタンプは使えなくなります。出国をしたら、DS160に飲酒運転による逮捕情報を開示し、裁判書類を提出して、再度ビザの申請をしなおす必要があります。

今後、米国大使館や米国領事館が発行するビザ取消通知所には、ビザ取消と同時に滞在資格も無効だという記載はなくなるはずですが、仮に“滞在資格も無効”という明記があっても、これは移民局の見解と相反するため、管轄の大使館や領事館に問い合わせて、直ちに出国する必要がないことを確認したほうがよいでしょう。

飲酒運転で逮捕された場合、初犯であれば、過去の逮捕歴、違法物所持、第3者に対する人身障害、など重度の追加違反行為がない限りは、ほとんどの州では軽犯罪の判決がいい渡されます。軽犯罪だと、判決文を全うすれば、基本的には滞在資格に影響したり、将来のビザ申請を妨げるものではありません。しかしながら、飲酒運転逮捕歴がある場合は、米国大使館や米国領事館でのビザ申請時に裁判記録を一式提出し、FBIのバックグランドチェックをされるので、ビザ申請は通常よりも長くかかることがあります。

また、在外公館は、いままで過去5年以内に飲酒運転の逮捕歴がある人、もしくは過去10年間に2回以上飲酒運転の逮捕歴がある人、またアルコール依存症だと思われる短期ビザ申請者に対しては、大使館指定医師からの健康診断書の取得を要請することがあります。診断の結果、本人が自分自身や社会に脅威や危害を加えるような障害がない、もしくはアルコール依存症ではないと判断されれば、ビザは発行されます。

なお、国外に出ている間にビザが取り消された場合、米国に入国できなくなる可能性があるので、飲酒運転の逮捕歴のある人は、米国を出国する前に人事に連絡をとり、国外でのビザの再申請に関して事前に準備する必要があるでしょう。

執筆:大蔵昌枝弁護士

 

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Posted as at June 20, 2017