2020年度の永住権抽選(DV-2020)の受付が東部時間2018年10月3日(水)正午12時にはじまり、2018年11月6日(火)正午に終了します。抽選による永住権とは、アメリカ合衆国を構成する人種の中で、移民比率の比較的低い国からの移民の数を増やそうとする目的で、年に一回国務省によって行われる移民多様化のことです。2020年度には5万枠の抽選永住権が割り当てられています。申請は無料で、オンラインで申請を行ない、申請者はコンピューターにて無作為に選ばれます。対象となるのはアフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米、南米とオセアニアなど6つの地域から過去5年間において、移民ビザの発給少ない国で出生した人で、抽選で年間合計5万件の移民ビザが割り当てられます。日本で出生した人も抽選の対象となりますが、 過去5年間に5万人以上の移民を米国に送り出した下記の国の出身者は対象にはなりません: バングラディッシュ、ブラジル、カナダ、中国(本土生まれ)、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ハイチ、インド、 ジャマイカ、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、フィリピン、韓国、イギリス(北アイルランドを除く)とその領土、ベトナム。香港、マカオ、台湾出生者は対象となります。本人が対象国で出生していなくとも、配偶者が対象国で出生していれば、その配偶者の出生国で申請することも可能です。また、対象とならない国で出生しても、本人の出生国が両親の出生国でない、或は本人出生時にいずれの親も当該国の合法的居住民でなかった場合、抽選対象国で出生した親がいれば、その親の国の枠で申請することもできます。一人一回だけの抽選ですが、本人の申請とともに配偶者と21歳未満のお子様も一緒に申請することができます。一人につき2回以上申請をすると、すべての申請が無効となります。

抽選による永住権を申請するには、まず申請資格を満たさなければなりません。まず、申請者は高卒、或いは同等の教育を修了している者で小・中・高校での12年間の公認の教育課程を修了したことを証明できること、若しくは、少なくとも2年間の研修か実務経験を必要とする職業(米国労働省の定める基準に準ずる)に過去5年以内に2年以上従事していることが条件となります。米国労働省の職業基準に関してはO*NET オンライン・データベース(http://www.onetonline.org/)で確認できます。さらに、申請者は犯罪暦の有無やテロ国支援国家の出身であるかなど、米国移民法の要件を満たしているか審査されます。

申請方法は、オンラインリンクhttp://www.dvlottery.state.gov/にいき、申請者の氏名、生年月日、出生地、出生国、居住国、住所、イーメールアドレス、電話番号、学歴、婚姻関係、配偶者情報、子供の情報など基本的な個人情報を入力します。デジタルも写真も添付し、オンラインで提出します。提出がおわると、名前と固有の確認番号が明記されている確認画面が表示されます。抽選状況については、2019年5月7日から2020年9月30日まで国務省のサイトで確認することができます。また、ビザ手続きのインストラクションや面接日時もEntrant Status Check上で通知されます。もし当選していれば、当選確認画面にいき、永住権申請方法についての指示に従い、申請費用支払いや必要書類など準備にとりかかります。

永住権の資格条件を満たさない応募者の数も考慮して、当選者は申請枠よりもかなり大目に選ばれますので、当選しても必ずしも皆が皆申請を行なえるわけではありません。受領番号の若い順に申請を行ないますが、当選者は自分の順番がまわってくるまでは永住権の申請書類を提出できません。2020年の9月末までに申請の順番が回ってこなかった場合、もしくはその年の永住権発給枠が達成してしまったら、当選者の永住権申請の受付は終了します。したがって、当選したらすぐにケース番号を確認し、順番が回ってきたら速やかに申請を行うことが大切です。もし順番がまわってくる前に永住権受付が終了した場合、翌年度の抽選に再度申し込むこともできます。ただし、抽選による永住権を取りやめようという法案もでているため、来年度も抽選があるかは、今後の政府の発表を見守る必要があります。

執筆:大蔵昌枝弁護士

本ニュース記事に関する注意事項

(DISCLAIMER)

本雇用・労働・移民法ニュース記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。テイラー・イングリッシュ・ドゥマ法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。

Posted on Oct 12th 2018

2017年8月に移民局は雇用主スポンサーによる永住権の申請者に対し、グリーンカード発行前に面接を義務付けると発表しました。2017年3月6日以降に永住権申請(I-485)を提出したものが対象となります。これはテロリストの入国を阻止するための大統領令13780, “Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States” の一環として、永住権申請過程に詐欺行為がなかったかを確認するための措置です。今回雇用主スポンサーによる永住権申請者全員に対して面接が義務つけられたことから、審査待ち時間に大幅な遅れらみられ、これ以前は4~6カ月ほどであった審査時間が現時点では11~23カ月まで伸びています。

【滞在違反チェック】 以前は、何らかの問題が見られない限りは、雇用主スポンサーによる永住権申請者の面接審査は免除されていました。面接の通知が発行されるのは、過去に犯罪歴、逮捕歴、詐欺行為、不法就労、滞在資格違反などが見られる場合で、例えば、過去に飲酒運転で逮捕されたことのあるに者は面接通知が発行され、過去の警察書類や裁判記録などを提出し、永住権申請却下に該当する理由がないことを面接時に証明する必要がありました。逮捕や犯罪歴がある場合、道徳的犯罪“Crime of Moral Turpitude”とみなされる行為であれば、永住権の申請は却下されますので、逮捕・犯罪行為を行った当該州法において、その行為が道徳的犯罪に該当しないことを証明する必要があります。道徳的犯罪とは一般に1年以上投獄される可能性のある意図的犯罪を指します。一般に軽犯罪はこれには該当しませんが、重犯罪となるとこれに該当します。また、移民法上は最終判決のみならず、本人の陳述書も検討するために、最終的に不起訴になった案件であっても、警察への陳述書にその罪を認めるような言動があれば、移民法上は有罪扱いとなることがあるので、注意が必要です。

【雇用歴チェック】 また、昨年1月より雇用主スポンサーによる永住権申請の際に追加書類としてI485Jの提出が義務付けられました。このフォームは雇用主スポンサー申請時に提出した雇用主情報、勤務地、職種内容などに変更がないかを確認するものです。特に永住権申請中に雇用主が変更となった場合、新しい雇用主の情報、職務内容などを記入し、転職先でのポジションが雇用主スポンサー申請時に提出した際の職務内容と同類のものである説明しなければなりません。雇用主が変更になっている場合は、新しい雇用主からのオファーレターや給与明細なども準備し、転職先の職務内容もLabor CertificationやI-140雇用主スポンサー申請で申請した内容と一致していることを説明する必要があります。

今回の雇用主スポンサー永住権申請者全員に対する面接の義務化により、過去の犯罪歴や滞在資格違反歴のみならず、永住権で申請したポジション内容に変更がないかなども厳しくチェックされるようになりました。従って、申請者は過去の職歴、現在の職務内容、永住権で申請した職務内容を正確に説明できるよう準備をする必要があります。また、本人も気が付かなかった過去の違反がないかなども、事前に確認する必要があります。例えば、H1B社員の勤務地を変更した雇用主が、移民局に訂正申請をしなければならないことを知らなかった場合など、移民法違反を問われるので注意が必要です。その他にも、H1Bで保証した給与を支払っていなかった場合、また、H1Bで申請した職務とは異なる仕事をしていた場合など、滞在資格の違反となりますので、注意が必要です。よく見られるのが、弁護士や第3者が作成した書類内容を雇用主や本人がチェックしていなくて内容を全く把握していない場合等、後になってから過去に申請した内容と実体が異なることに気づくことがあります。従って、過去の申請書類の内容に問題がないかを事前に確認して、面接時に問題なく解答できる準備をした方がよいとおもわれます。

執筆:大蔵昌枝弁護士

本ニュース記事に関する注意事項

(DISCLAIMER)

本雇用・労働・移民法ニュース記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。テイラー・イングリッシュ・ドゥマ法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。

Posted on Sep 22nd 2018

2018年4月に移民局は、理数系学生用のSTEM-OPT保持者は、雇用主以外の場所での就労は認められないという方針を明らかにしました。つまり、派遣会社が雇用主となったり、雇用主の顧客先での就労を制限するという内容です。

STEM-OPTとは. Optional Practical Training (“OPT”) とはアメリカで大学で学位取得を目的とする学校にフルタイムで9ヶ月以上在籍した学生が、在学中もしくは卒業後に申請できる就労許可証のことです。OPTを使って卒業前、後合わせて合計で12か月まで研修・就労することができますが、理数系(STEM)の学生であれば、OPTをさらに24か月間延長することができます。この延長をSTEM-OPTといいます。STEM-OPT申請条件として(1)STEM分野で学士、修士、博士の学位を取得済みであること、(2)OPT就労資格で米国雇用主のもとで専門分野と関連した職務に従事していること、(3)雇用主はE-Verify 雇用資格確認システムに登録していること、(4)STEM-OPT社員がフルタイムやパートタイムのアメリカ人社員の職を奪うものではないこと、(5)類似の仕事を行っているアメリカ人社員の雇用条件(職務、時間、報酬など)と同等に扱うこと、などが挙げられます。また、STEM-OPTを申請するには、雇用主はこの研修期間の学習目的を明確にし、正式な研修プログラムを作成(フォームI-983)しなければなりません。

報告義務. 雇用主は学生を解雇する場合は解雇から5日以内に大学のインターナショナル・オフィスに報告する義務があります。また、研修計画に変更があれば、雇用主は事前に大学のインターナショナル・オフィスに報告し、訂正版の計画書を提出する義務があります。

学生は雇用主情報(社名、住所など)や個人情報(名前、住所、イーエールアドレスなど)に変更があれば、10日以内に大学のインターナショナル・オフィスに報告する義務があります。何も変更がなくとも学生は6か月に大学のインターナショナル・オフィスに変更の有無について報告する義務があります。STEM-OPT期間は60日以上雇用が中断すれば、OPTが失効してしまうので注意が必要です。

真正な雇用関係. 2018年6月に新規H1Bの申請をした雇用主が、STEM-OPTで就労している外国人社員が派遣会社を通してSTEMP-OPTを申請したことが問題視され、H1Bの審査の一環として過去に滞在資格の違反がなかったかを問われました。これはH1Bの雇用関係に関する規定と同様、STEM-OPTの雇用主も、実際に学生の研修・就労を監督する会社が雇用主として研修計画書に署名し、雇用主責任を担うという解釈です。派遣会社が実際の研修を提供し、毎日の研修の指示監督を行っていれば、派遣会社がSTEM-OPTの雇用主として研修計画書に署名し、雇用主責任を担うことができます。しかしながら、派遣会社が派遣契約のみ、あるいは給与処理など事務処理のみを行い、日々の業務の指示監督を行っていなければ、派遣会社がSTEMP-OPTの雇用主となることはできません。

職場訪問.移民局は申請したSTEM-OPTの研修計画書の内容通りに研修を進めているかを確認するために、研修場所を訪問することもあります。もし、STEM-OPTの規定を順守していなければ、滞在資格違反を問われ、オーバーステイのカウント、さらに裁判所出頭命令の通知を受けることも考えられます。5月に発表された政府の新しい方針により、滞在資格に違反があれば学生ビザ保持者も不法滞在扱いとなり、オーバーステイが180日を超えると3年間アメリカへの入国禁止、オーバーステイが365日を超えると10年間アメリカへの入国禁止処分となります。また、7月に発表された新しい政府のガイダンスによると、滞在資格を違反した者に対して出廷通知(Notices to Appear, NTA) が発行され、出廷通知を受け取ったら、移民裁判所に出頭し、強制退去処分の対象になるのかを判断されることになります。

1月にトランプ大統領が発表した大統領令13768、 Enhancing Public Safety in the Interior of the United Statesにより、米国内の安全強化のために外国人に対する国外退去の方針が厳しくなっていますので、雇用主も学生もSTEM-OPTの順守事項に漏れがないよう十分に注意する必要があります。

執筆:大蔵昌枝弁護士

本ニュース記事に関する注意事項

(DISCLAIMER)

本雇用・労働・移民法ニュース記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。テイラー・イングリッシュ・ドゥマ法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。

Posted on Aug 24th 2018

2018 年7 月5 日に移民局は出廷通知(Notices to Appear, NTA)に関する新しいガイダンスを発表しました。NTA とはアメリカから退去処分の対象になる個人に対して発行される書類です。出廷通知を受け取ったら、移民裁判所に出頭し、強制退去処分、もしくはアメリカに引き続き滞在できるのかを判断されます。

2003 年度に国土安全保障省発足時に、移民に関する業務が、移民書類審査(USCIS、移民局)、国境取締警備(CBP、税関国境警備局)と米国内取締警備(ICE、移民税関捜査局)の3つの機関に分けられました。しかしながら、今回のガイダンスにより、本来ならばICE が管轄する国内取締業務の一つである移民裁判所への出廷通知発行業務を、移民局も担うことになります。

今回の出廷通知は、国家安全にかかわる問題、一時的被保護資格者(TPS)や不法移民の子ども(DACA)には適用されません。出廷通知の対象となるのは、詐欺や虚偽の申請をした者、有罪判決を受けた者、犯罪で起訴された者、もしくは犯罪行為を行った者等があげられます。これ以外にも米国市民権を申請し、道徳的人格を証明できずに却下された人、また、移民関連申請を却下された時点で、滞在資格を維持していない人なども対象となります。

例えば、H1B 保持者が移民局に滞在資格の延長申請を提出して却下された場合、審査時間が長引いたために却下時点で元のH1B の滞在資格が失効していれば、出廷通知が発行され、強制退去処分の手続きをとられることになります。また、管理職として働いているL1A ビザ保持者が永住権を申請して却下された場合、審査時間が長引いたために却下時点でL ビザ滞在資格が失効していれば、出廷通知が発行され、強制退去処分の手続きをとられることになります。また、滞在資格を違反しても裁判所から強制送還の通知が来ない限りはオーバーステイ扱いとはとならなかったF1、J1、M1 の学生も、5月に発表された政府の新しい方針により、滞在資格に違反があれば今後はオーバーステイ扱いとなるようになったため、学生ビザ保持者も滞在資格に違反があれば出廷通知発行の対象となります。

今までは、H1B やL ビザなどの滞在資格が失効した後に、滞在資格の延長申請や永住権の申請が却下された場合は、すぐに国外に出る準備をしてアメリカを離れることができましたが、今回のガイダンスにより、出廷通知がきたら、移民裁判所に出頭する義務が生じるため、本人が申請書類却下後にすぐに国外に出たくても出られなくなることが予想されます。しかも、現在70 万もの未処理の案件を抱えている移民法廷が、今後ビザ申請書類の却下による出廷通知の対応も強いられることになれば、出頭期日までの待ち時間や強制退去手続きにもかなり時間がかかることも考えられ、また、手続きも複雑化することが想像されます。

今回の措置は2017 年1月5日にトランプ大統領が発表した大統領令13768、 Enhancing Public Safety inthe Interior of the United States、を受けたもので、米国内の安全強化を図るために国外退去の対象となる外国人に関するガイドラインをアップデートしたものです。法的にアメリカに滞在する外国人に対しても、あたかも意図的に法律を違反したかのような見方をする今回の措置に対して、今後訂正が加わるか見守る必要もありますが、このような状況下においては、今後は滞在資格の延長申請や永住権の申請は、現行の滞在資格が失効するかなり前に余裕をもって申請したほうがよいでしょう。また、滞在資格が失効する前に申請結果がわかるように、特急申請を利用できるビザ種類であれば、特急申請サービスを利用したほうが無難だと思われます。

執筆:大蔵昌枝弁護士

 

本ニュース記事に関する注意事項

(DISCLAIMER)

本雇用・労働・移民法ニュース記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。テイラー・イングリッシュ・ドゥマ法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。

Posted on July 16th 2018

2018年5月10日にF学生ビザ, J交換訪問者ビザ, M職業学生ビザ保持者の不法滞在に関する方針を変更する旨を発表しました。通常、一回の入国で許可された滞在期間を180日超えて滞在すると3年間はアメリカへの入国が禁止となります。不法滞在が365日を超えると10年間アメリカへの入国禁止となります。ただ、今までは学生ビザ保持者は、裁判官から強制送還の通知が発行されない限りは不法滞在扱いにならなかったために、この3/10年入国禁止の対象とはなりませんでした。しかしながら、今回の法律改正により、F, J, M学生ビザ保持者もI-20やDS2019に書かれてある滞在期間を超えて滞在した場合は、不法滞在扱いとなり、今後は3/10年入国禁止の対象となります。

 

米国に入国するためには、ビザ免除のESTA登録を行うか、もしくは有効なビザ・スタンプを申請してから入国します。入国を許可されるとその場でオンラインの出入国管理システム(I-94)に滞在期間を記入され、パスポートの入国印の下にもI-94と同じ滞在期限が明記されます。ところが、F, J, M学生ビザ保持者の場合は、特定の滞在期限がなく、I-94とパスポートの入国印の下には“D/S”と記載されます。D/SとはDuration of Stayのことで、入学に必要なI-20やDS2019に書かれてある期間まで滞在が有効であるということです。I-20やDS2019に書かれてある期間に猶予期限(Grace Period)を足した期間を超えて滞在したり、学校に通わなくなった場合などは滞在資格の違反となりますが、I-94に滞在期限がかかれていないために、今までは滞在資格を違反しても不法滞在扱いにはなりませんでした。

 

今回の法律改正により、2018年8月9日以前に滞在資格を違反した場合は、違反日から不法滞在とみなされるようになります。また、次の条件のいずれかが当てはまる場合は、滞在違反日と次の該当項目のいずれかの早い日から不法滞在扱いとなります。(1)非移民ビザもしくは移民ビザ申請中に自分の滞在資格を違反したことが発覚し、ビザ申請が移民局に却下された日の翌日;(2)I-94が失効した日の翌日;(3)移民法裁判官もしくは入国不服審査会(BIA)により強制退去処分を命じられた日の翌日。

 

2018年8月9日以降に滞在資格を違反した場合は、次の条件の中から該当する項目で一番早い日から不法滞在扱いとなります。(1)学校の授業や許可された活動の参加を辞めた日の翌日、もしくは不法な活動に参加した日の翌日、(2)学校の授業を完了し、OPTや猶予期限が切れた日の翌日、(3)I-94が失効した日の翌日、(4)移民法裁判官もしくは入国不服審査会(BIA)により強制退去処分を命じられた日の翌日。

 

2016年時点でアメリカには145万人ものF, J, Mのビザ保持者が滞在しており、その中でもF1ビザ保持者の6.19%、J1ビザ保持者の3.8%、Mビザ保持者の11.6%が許可された期限を超えて滞在しているという移民局の統計が報告されています。このようなオーバーステイをしている人の数を削減しようという目的で、今回の法案が発表されました。F, J, M学生ビザ保持者の配偶者や同伴家族も対象となります。

 

今回の法律改正により、F, J, M学生ビザ保持者は一回の滞在が180日を超えた場合は3年間のアメリカへの入国禁止となり、過去のオーバーステイが累計で1年を超えた場合、その後に正式なビザや入国許可証なしにアメリカに入国したり、入国を試みた場合は、永久に入国できなくなりますので注意が必要です。永久入国禁止の対象になった場合、入国禁止免除(ウエイバー)の条件に該当しない限りは、将来アメリカのビザの申請、入国、永住権申請をすることはできません。例外として、18歳未満の未成年の学生は不法滞在扱いにはなりません。

 

今回の法律改正は大変厳しい内容となっており、ついうっかりとした滞在資格の違反が後から発覚した場合(例えば、OPT期間失効後1日余分に仕事をした、無休のボランティア活動が後になって就労だとみなされたなど)、過去に遡って不法滞在が始まったとみなされる可能性があります。これに対し、アメリカ移民審議会から移民局宛に意見書が提出されていますが、この法律に変更点が加えられなければ、今後本人も気が付いていないような過去の滞在資格違反のために不法滞在とみなされる例が出てくると思われます。

執筆:大蔵昌枝弁護士

 

本ニュース記事に関する注意事項

(DISCLAIMER)

本雇用・労働・移民法ニュース記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。テイラー・イングリッシュ・ドゥマ法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。

Posted on June 20th 2018